夜叉�~峠から白根三山の眺め	砂払岳から薬師岳

2012.09.16　晴れ、曇り　　　　　　夜叉�~の森〜薬師岳小屋までの行程時間（休憩含む）：６時間２５分 　行程：ＪＲ甲府駅7:00＝(バス）＝夜叉�~の森（夜叉�~峠・鳳凰三山登山口）8:30―9:30夜叉�~峠9:45―杖立峠11:10―12:50苺平13:00―南御室小屋13:30―砂払岳14:40―薬師岳小屋14:55（泊） 　2012.09.17　雨、曇り、晴れ　　　薬師岳小屋〜御座石鉱泉までの行程時間（休憩含む）：９時間 　行程：薬師岳小屋5:20―5:30薬師岳山頂(2780m)5:35―観音岳山頂(2840m)6:05―鳳凰小屋分岐点6:35―赤抜沢ノ頭7:30―7:40賽の河原7:45―地蔵岳(2764m）祠前7:50―賽の河原8:00―赤抜沢ノ頭8:20―鳳凰小屋分岐点8:55―9:55鳳凰小屋（朝食）10:20―（御座石鉱泉コース）―燕頭山11:40―14:20御座石鉱泉（入浴）15:15＝(バス）＝ＪＲ韮崎駅 　メンバー：ｍｉｌｉｏｎ（単独）

天気予報の良い１５日の土曜はどうしても会社を休めなく、仕方なく１５日の近鉄夜行バスで天王寺から甲府に向かうことのする。台風が近づいていることもあり一番大事な１７日の天気が気がかりだが、予報では朝の内は晴れであったが、果たして・・・。 　以前に近鉄夜行バスに乗ったときは韮崎と甲府にしか停まらなかったが、今回のバスは至る所に停まる。前回は乗車客が登山者ばかりであったが、今回は帰省客や観光客が結構多いようだ。そのためか、前回より約1時間程遅く甲府駅に到着する。甲府駅で休憩する間もなく、甲府駅７時発の広河原行きバスに乗り込む。

夜叉�~の森にて下車	夜叉�~峠・鳳凰三山登山口

８：３０　夜叉�~の森にてバスを下車する。『夜叉�~の森』という瀟洒な建物は、以前はなかったように思うが、２００４年発行の地図にすでに載っているのだから、単に気付かなかっただけかも知れない。『夜叉�~の森』と道を隔てた奥が夜叉�~峠・鳳凰三山の登山口になっている。道標によると『夜叉�~峠まで１時間』。夜叉�~の森の標高１３８０ｍ、夜叉�~峠が１７７０ｍ。標高差３９０ｍを１時間程で登るようだ。登山道をジグザグ登る。急登でもないが、なだらかでもない登り道が続く。沿道は白い樹肌の木々が林立していて、樹幹の間より青空が覗く。鬱蒼と陰を落とした道や日溜まりの道を登る。

夜叉�~峠から白根三山を望む	夜叉�~峠小屋

夜叉�~峠から白根三山を眺める。右から北岳、間岳、農取岳と続く。雄大な景色だ。殆ど雲もなく、惚れ惚れする眺めだ。パンで軽めの朝食をしながら、しばらく眺望を愉しむ。 　夜叉�~峠から北への縦走路はしばらくは樹林帯の中の平坦な道が続く。地図によると杖立峠の標高２１７７ｍ、夜叉�~峠から約４００ｍの標高差を２時間程掛けて登ることになる。斜面が笹に覆われたシラビソ林の梢越しに陽光が射す。 　１０時を過ぎた辺りから空は雲が多くなってきたようだ。登山道近くに下草がなくなると、急登の登りになる。久し振りの登山に１歩が重く感じるようになる。大崖頭山山頂は通らないようだが、結構辛い。

杖立峠にて	杖立峠からの下り道で

やっと杖立峠に到着する。峠で出会った登山者たちは南御室小屋泊まりのようだ。「薬師岳でご来光を見たいので、薬師岳小屋にしました」と言う私に、「明日はご来光はどうやろう」と年配の方が言う。「台風の影響が気になりますね」と私。「天気さえ良ければ、私たちは４時出発だ」と幾分若い方。明日の天候を気にしても仕方がない。運を天に任せるしかないが、最近の３登山とも雨に祟られているので、４連敗は流石に厭だと思う。とりあえず鳳凰三山の良し悪しは明日の天候次第となるようだ。 　遠くに泊まる私の方が先に杖立峠を出発する。杖立峠から標高差３５０ｍの苺平まで、地図によると２時間かかるらしい。しばらく下り道が続く巻き道を歩く。

苺平へ向かう道で白根三山を望みながら歩く	苺平の道標（南御室小屋３０分）

見晴らし場から白根三山を望む。夜叉�~峠よりは随分雲が多くなっているが、北岳に少し雲がかかっているぐらいで、まだ山容を望むことができた。雲の動きが速いので、もう少しすると青空がなくなりそうだ。 　見晴らし場から５０分程歩いて、シラビソの樹林に囲まれた苺平に到着する。名前から春には野苺生い茂る平原を想像していたが実際は大違い。道標によると『南御室小屋３０分』。

南御室小屋	南御室小屋の花畑

苺平からどんどん下って、南御室小屋に到着する。ここで泊まるには時間的に早過ぎるし、翌日のことを考えると、もう少し辛抱して薬師岳小屋まで登る方が正解だったと思う。南御室小屋のお花畑を通り、急登を登る。 　寝起きにこの道を登るのは辛いだろうと思いながら登る。途中に森林限界が分かるような岩山が聳えている。地図にはないが、道標によると『砂払岳　薬師岳小屋１０分』と、あった。

森林限界の砂払岳にて	砂払岳にて

砂払岳は砂に覆われた岩山で森林限界が何となく分かるような山だった。砂払岳の山頂の岩場を抜けると、眼前に薬師岳が聳えていた。少しガスに包まれているのが残念だ。薬師岳は森林限界に覆われた岩山のように見える。

砂払岳から薬師岳小屋のある森	薬師岳小屋に到着

砂払岳の岩場を下りると、森の中に薬師岳小屋らしい建物が見えた。車中泊後の登山では、この辺りが限界だったろうと思う。とりあえず小屋に入り、ビールでも飲みたいものだ。 　薬師岳小屋は夕食は５：３０から、まだ２時間半程あるので、外に出て、本日ひとり１本と限定された管ビールを飲む。どこもグループで小宴会を始めている。聞くとはなしに、彼らの話を聞いている。誰もが明日の天気が気になるようだ。庭に陽が射したり、陰ったりしている。スウェットだけでは肌寒いので、ウィンドウブレーカを羽織る。暮れ行く森を眺めながら湯割りの焼酎を呑む。 　おでんの夕食を戴き、明日の弁当を預かり、早い就寝に着く。

＞＞　二日目　＜＜

一度、目を覚まし、時計を見ると、まだ１：３０。もう少し寝ようと、次に目覚めたのが５時前だった。みんなの登山準備の音に目覚めたようだ。天候が気になり小屋を出る。残念ながら小雨が降っていた。辺り一面ガスが立ち込めている。土砂降りの雨でないだけ良しとするしかないだろう。 　雨のためか、小屋を出る人が少ない。それでも、私は雨具の装備をして、５：２０に小屋を出発する。後ろを歩く、親子連れの登山者は荷物を提げていないので、薬師岳登頂後、小屋にまた戻るのだろう。

小雨に煙る薬師岳山頂（2780m）付近	観音岳山頂（2840m）にて

１０分程で小雨に煙る薬師岳山頂に到着する。昨日見た時から岩山のように感じていたが、実際は岩場と少し離れた砂に包まれた平らな場所に山頂碑が立っていた。 　山頂から東に出る道は青木鉱泉に下りる中道コースで、観音岳は北西に向かう道があった。どうやら岩陵には行かないようだ。山の眺めがないのが辛い。ハイマツの茂る登山道から本来なら観音岳が聳えているのが見えるのだろうと思いながら登山道を歩く。３０分程で観音岳山頂の岩稜に出会う。鳳凰三山の最高地点である。

鳳凰小屋分岐点	賽の河原にて

観音岳から砂地の登山道を下って行くと、『鳳凰小屋分岐点　地蔵岳３０分』の道標が立っていた。鳳凰小屋から登って来たと言う登山グループの団体さんがリュックをここに置いて地蔵岳を目指すようだ。この光景を見たため私は勘違いを起こすことになる。リュックを置いて行こうとまで思わなかったが、鳳凰小屋に下りるにはここまで戻って来るしかないと思ってしまったのだ。地図を確認すれば勘違いに気付いただろうが、雨のため地図を出すのが億劫だった。 　赤抜沢の頭から下って賽の河原にに出て、ここにリュックを置いて地蔵岳に向かう。

地蔵岳山頂祠	地蔵岳オベリスクを眺める

オベリスクは登山禁止のようで、山頂碑はないのが悲しいが、地蔵岳山頂祠が山頂として戻ることにする。　賽の河原から下に続く道があることを知りながら、それが鳳凰小屋に続く道であることが分からず、元来た道の鳳凰小屋分岐にまで戻る。 　鳳凰小屋分岐からの道は、雨のため滑り易い道で、ゆっくりと下りなければならなかった。分岐から１時間程で鳳凰小屋に到着する。

鳳凰小屋に到着	鳳凰小屋から右道：地蔵岳、左道：観音岳

鳳凰小屋の亭主が私に、「今日は地蔵岳は行かなかったのか」と、話し掛ける。どうやら鳳凰小屋の到着道で分かるようだ。確認すると、右側が地蔵岳から下る道で、左側は沢越えの観音岳に向かう道のようだ。ここで、やっと私の勘違いに気付く。亭主の話では、雨の日は砂利道のため、地蔵岳から直に下る道の方が下り易かったようだ。地図で確認すると４０分程のロスでしかないが、地図では分岐から４０分の所を１時間費やしているので、約１時間程のロスをしたようだ。 　雨も上がり、ここでやっと遅い朝食をとる。弁当は堅めのご飯だったが、腹が減っていたので美味しく戴けた。当初はここから青木鉱泉側に下りる予定だったが、「雨の日は御座石鉱泉側の方が下り易いよ」と、亭主の薦めもあり、御座石側に下りることにする。ドンドコ沢のいくつかの滝を見ながらの下山は魅力的だったが、まだまだ下山道が長いこともあり、久し振りの登山で足が心配だから歩き易い方を優先した。

ガスがどんどん上がって行く	見晴らし場からの眺め	晴れた燕頭山付近で

下山は雨の上がり、ガスがどんどん山の上方に上がって行くのが見える。朝と今が逆なら良かったのにと思いながら下りる。燕頭山付近で青空が拡がる。今日初めての明るい陽光が射すので、レインコートの下だけ脱ぐことにする。やはり幾分歩き易くなった気がする。 　こちらのコースは登山者と行き会わないようだ。日程的に今から登る人も居ないだろうが、鳳凰小屋から２時間程下山した所で、出会った登山者に尋ねると、「御座石鉱泉から登り出して丁度２時間」と言う。下山の方が幾分早いとは言え、現在の登山靴と相性が悪く、下山で足の先が痛むため、ゆっくりと下りる私の下山速度では、小屋から御座石鉱泉まで４時間位と考えた方が良いだろう。入浴がぎりぎりの時間になるかも知れない。 　やはり、御座石鉱泉到着１４：２０。丁度、小屋から４時間かかったことになる。入浴しながら、下山で感じた足先の痛みに靴を新調しなければと思う。登山はやはり靴が大事だとつくづく思う。そんな意味では、良い経験になった一日だった。